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レディ・プレイヤー1のメタのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.1
「うん、日本人に生まれてよかった」の一言です。

やっぱり、スピルバーグ監督は、言いたいことをストレートに表現してくる。結局、「友を大切にしろ、愛をつかめ」っていうことですよね。

内容の素晴らしさについてのレビューは多くの方がされていますね。私は違った角度から感想を述べたいと思います。

さて、この映画を見て気になったのは「シャイニング」のシーン。まったく予想外で、非常にワクワクできました。ここでふと思ったんですけど、スピルバーグ監督って、大衆映画に怖いシーン唐突に入れてきますよね。けっこう絵面的にエグいやつ。私が見たのだと、インディジョーンズシリーズ。顔が破裂したり溶けたりしたような...

なぜ大衆向け映画で、ショッキングなシーンを使うのでしょうか。誰でも見れる映画で映すことの意図はなんだろう?子供も見る映画なのに。
別に、意味なんてないのかもしれないけど、今回はこの点について考えてみます。
結論から言いますと、

「見たいものだけ見ている人生でいいのか?」

というメッセージを私は感じました。
自分自身の好みと言葉の関係、そして世界とあなたの関係、これらを考えてみようと思います。

・自分ってそんなに決まっているもの?
嫌いなものは見たくない、この心理は当たり前ではある。映画で考えるなら、ホラー映画、鬱映画などが挙がるだろうか。
しかし気になるのは、「私、ホラーとか怖いから見たくない」「ホラーとか何の役にも立たないでしょ」と "斜断する" という行いだ。
どうしてそんなに決めることができるのか、蓋をすることができるのか、とても不思議だ。そこまで自分の好みとは、しっかりと固まっているものなのだろうか。そしてそれを自分で把握できているものなのだろうか。

私は、まだまだ自分のことがわからない。


・言葉があなたを考えさせない
好きだ嫌いだという固定的な態度、それがいきすぎている人もいる。それほど過剰に決めつける振る舞いを、私は好きになれない。
固まった好み。何がそうさせるのか?

「言葉」の問題が大きいと思う。
決めているのは、あなたではなく言葉なのではないだろうか。「好き」「嫌い」という言葉を使っていると、もう考えなくて済むように思えてくる。言葉の説明力のおかげで、考えた気になれるのだ。それに、人は怠けたいものだし、自分で考えたくない生き物である。自分の意思決定すら誰かに任せたい人は多い。何にでも頼りたい人間は、言葉にも頼ってしまうというわけだ。
言葉というのは、考える道具だ。しかし、同時にこれは、「考えさせない力」を持つことを意味する。何かをスキップするはたらきを持つ、それが道具なのだから。
人は、言語的存在だ。ゆえに、無意識レベルで言葉に規定されてしまう。完全に言葉から自由になれるのは、悟った者くらいだろう。

できるだけでも、言葉の操り人形になる危険は、つねに自覚すべきだろう。

・世界の在り方とは?
さて、そんな「言葉の世界」と比べて、現実世界のあり方の本質とはなんだろうか。
大きな特徴は、カオスであり偶発性だ。
それは、言葉で切り分けられたり、整理できるものではない。
たとえば、事故や震災も予測できないし、自分がいつ死ぬのかだってわからない。
言葉・論理にもっとも頼る数学という体系一つとっても、そこには「不完全性定理」というある限界が存在してしまう。
世界がどうなるのか完全にわかるルール、法則はない。言葉による記述で、世界を完全に覆うことはできないのだ。
そして、それらは大量の情報となって、私たちの周りに ”不意に” 現れる。この偶発的な出会いの連鎖から人間は逃れることはできない。不意に現れた何かが強力ならば、嬉しい記憶として残ったり、トラウマとして悩まされることもある。
世界との関わりを完全に予測できない、これが世界と私たちの関係だ。

・豊かな世界を
思考停止したまま現実に直面すれば必ずズレが生じる。そのズレからあなたは逃げるのか、見ないようにするのか。それならば、どんどんそのズレは大きくなっていくのでは?
言葉の先に、自身の混沌とした奥深くに、これまた混沌とした ”感情” が広がっているはずだ。そこにこそ、"あなた" がいるのではないか?
自分の見たいものしか見ない生き方。そして、決めつけるという姿勢は、差別的態度の根源にもなる。「好み合わない人は嫌い」なんていうセリフを平気で言う人もいる。人が織りなす社会、文化はこうも多様で複雑なのに、それを拒絶するのか。とても、不自由な生き方に見える。

「世界からは逃げられないぞ!!見たいものだけ見ていていいのか!?」

監督の意図を、私はこのように(勝手に)解釈しました。
世界と真っ直ぐに向きあう勇気、ありがたく感じます。


ブログでも映画について書いています。こちらもどうぞ。
http://interaction.hatenadiary.jp/entry/2018/10/11