すずや

レディ・プレイヤー1のすずやのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.5
現実"real"よりも、より"reality"に溢れた虚構という矛盾。
倫理の授業の記憶が正しければ、確かプラトンの『国家』で論じられた問題だったはず。真の現実とは何か。この映画のテーマはこれだったと思う。
真の現実は楽しいことばかりではない。でも、オアシスという虚構よりも、辛く苦しい事の多い現実こそが"reality"に溢れた空間であるべきだと。それが正しい在り方だというストーリーだと思う。

色々な解釈をこれから読みたいと思うけど、恐らく本作のメタファーになっているのは現代のSNSだと思う。現実世界に居場所を見いだせずに、SNSに居場所を求める人は少なくない。でも、「SNSで個人情報を言っちゃいけない」とか「知り合った相手が何を隠してるかわからない」とか、そういった類の注意もあったりして。それでウェイドは完全に墓穴を掘ってるし…
SNSに頼りすぎる若者への警鐘のようにも感じたし、そこにrealityを求めちゃいけないんだなと…

以前、スピルバーグ監督は"エンターテインメント大作"と"今作らなければならない作品"の2種類を撮っていると聞いた事があるが、この作品は前者のように見えて実は後者の作品だったのかもしれない。
スマホ依存、SNS依存というのは現代社会で大きな社会問題になっている。そんな今だからこそ、作る意義のあるものだったのだろう。エンターテインメント性の強い映画に見せかけてはいるが、メッセージ性の強い映画だった。
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