特殊能力を持つ少年が夢に導かれて入り込んだ世界で死闘を繰り広げる物語。原作未読。
サクサクと展開するが疾走感はなく、連ドラマを纏めた総集編のように感じで、作品の根幹やキャラのテイストや構築不足が目立つ。原作が全7作構成らしく納得。
それを95分に纏めるのは難しいので、冗長を嫌い超次元的アクションに特化した冒険ファンタジーはイドリス・エルバのガンアクションなどのアクロバティックアクションは良いとしても脚本不足は否めなく、思春期特有の心理描写や少年の成長譚としては弱い。またSF的造形やテイストも上手いとは言えなく、現実世界の絡みも弱い。
キング作品は思春期特有の少年の悩みや葛藤が根幹にあるが、今作ではその構築不足なことから、キング作風を理解していない人には、特殊能力が根幹の違和感に感じるだろう。原作を深化できていないのでは。
また、キングの他作品のディテイールが全く関係なく登場する遊び心に意味があるのか理解できなかった。（どうやらキング作品のすべてをつなぐ中間世界の設定らしい）
アクション満載だが、キング原作にはそれを求めていなかったので相性は良くなくて残念。キング特有の徐々に見えない何かが具現化していく恐怖やジュブナイル的ヒューマンドラマを挟んだ方が良かったのでは。
もっと丁寧に作って120分位に纏めて欲しいと思いつつも、それでも映像背景とテイストが暗いからか上映時間以上に長く感じたので、原作の長編で壮大な世界観を圧縮してラノベ映画的な枠にはめ込んだと思えば、この位で良かったのかも。キングがまた怒らないか心配。
