グラッデン

マネーモンスターのグラッデンのレビュー・感想・評価

マネーモンスター(2016年製作の映画)
3.8
人気財テク番組『マネー・モンスター』の生放送中に拳銃を持った男が侵入し、司会を人質にして番組をジャックする物語。

「自分の働く業界に関連する作品は見ておこう」という軽いノリで見にいった映画でしたが、思った以上にエンタメ要素を効かせた盛り上がりがあり、面白かったです。

本作を見終えて良いと思ったのは、生放送のテレビ番組という「舞台装置」、劇場型犯罪という「シチュエーション」、その背景にある金融界の闇という「テーマ」の3点を上手く絡ませていた点です。何となくですが、小劇場演劇が作り出す魅力にも近いかもしれません。
生放送のスタジオで繰り広げられるスタッフや出演者とのやり取りは、まさに舞台のような緊張感と慌ただしさに満ちています。そんな中に舞台袖=セットの裏から突如登場してきた犯人の存在、視聴者を含めた緊張感の共有もまた小劇場の観劇に通ずるものがあるかと。さらに、作品のゴールを簡単には見つけさせない謎の要素が物語の良いアクセントになっていたかと。

また、印象に残ったのは本作における女性の描き方です。物語の主軸となるのは男性ではありますが、その男性たちと対等な立場で接する者、あるいは打ちのめす者、そして反旗をひるがえす者と、様々なかたちでの「強さ」を描いていたと思います。
この点については、公開前に朝日新聞に掲載されたジョディ・フォスター監督のインタビューにも、ハリウッドにおける女性のあり方に関してメッセージを残しておりましたので、この辺は意識されていたのではないかと。作品を見ながら、彼女の言葉を思い出しておりました。

仕事柄、それなりに知識はある自分でも金融をテーマにした映画は身構えてしまいますが、本作はバラエティショーでも見る感覚で見れますよ。「銀行預金より安全だ」(とは言えない)