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ベイビー・ドライバーのlptsのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
2.0
「反則技」

 映画という媒体において、音楽を鳴らし続けるのは反則技だと思ってる。最高の音響が整った映画館で、ノリの良い音楽を聴き続ければ、内容の良し悪し関係なく、「あぁ、何か楽しい映画を観れたな」と思うのは当然のことだ。何か1つのシーンを印象づけるために、音楽を使う手法には大賛成だが、本作の音楽の使い方には、首をかしげてしまう。やはり映画というのは、映像とストーリーで観客を楽しませなければならない。本作は、あまりにも音楽に頼りすぎている。これでは、映画というより、長い長いミュージックビデオを観させられたという印象が強い。

 そして、この作品には致命的な点がある。それは全体的に音楽のセンスが良くないところだ。音楽を全面的に押しだす作品において、楽曲の選択は生命線である。本作に、強烈な印象を残すような楽曲があったか。残念ながら、自分には一つもなかった。映画館から出た瞬間、スマートフォンで検索をかけたくなるような楽曲が無かったことが、残念でならない。


「音楽との出会い」
 
 映画には、音楽との出会いという側面がある。映画は、素晴らしい楽曲を知るきっかけをつくってくれる。「キングスマン」なら「Free Bird」、「ドライヴ」なら「A Real Hero」、「Guardians of the Galaxy Vol. 2」なら「Mr.Blue Sky」、「ボーンシリーズ」なら「Extreme Ways」など、どれも素晴らしい出会いであった。そして、映画館ではじめてスティーヴ・ウィンウッドの歌声を聴いたときの高揚感は、今も鮮明に覚えている。本作でも、この血が滾るような感覚を味わいたかった。

 
 
 

 

 最後に1つ、とても釈然としないことがある。それは超綺麗なウェイトレスが、なぜあんな魅力の欠片もない男に一目惚れしたのか。ほんとう理解に苦しむ。学校にいれば、確実にスクールカースト底辺に位置するようなイヤホン男に、なぜあそこまで惹かれたのか。どうみても、お近づきになりたくないオーラマックスだろ。しかも、寡黙でクールな男かと思いきや、女性の前ではベラベラ喋りだす始末。格好良い男の描き方を何もわかってない。サソリのスカジャンを着た、この世で最も格好良い男が出てる映画があるから、それを何十回も見て出直してこいと言いたい。

 

 
 
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