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ベイビー・ドライバーのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
2.0
今日は当直前に「ベイビー・ドライバー」を鑑賞。


強盗団のボス〈ドク〉への借金返済のため、イヤイヤながら逃走車ドライバーをやっている青年〈ベイビー〉。ひとたび音楽が流れれば天才的ドライビングテクニックを発揮し、毎回ヤマを成功させてきたベイビーだったが、最後の仕事を終えてウェイトレスのデボラと恋が始まるという矢先、再びドクに呼び出され、郵便局襲撃に参加するよう強要されてしまう…

てな話。


エドガー・ライトって人の作品は「ジャンルパロディの体裁を取りながら、そのジャンルのマスターピースを目指す」というのが特徴。今回のパロディ元は70年代風犯罪映画ですね。ラスト、裁判所通訳の声だけでウォルター・ヒルが出るんだけど、それに気づかずとも判るのは、これは「ザ・ドライバー」のパロディですよね。ケビン・スペイシーの名が〈ドク〉なのは「ゲッタウェイ」オマージュかな。カーチェイス&音楽というルックは「ブルースブラザーズ」だしね。あと、多分ライト監督が個人的に好きなんでしょうな、「ハートブルー」オマージュ……襲撃時のゴムマスクも健在。ちなみにこのマスクが俳優マイク・マイヤーズのもので、「ハロウィン」マスクと間違えたってクダリは、カーペンター映画のファンには爆笑するネタでした。

しかしながら、このジャンルのマスターピースになり得たかと言うと、それは…


残念ながら否ですね(泣)。

以下、ネタバレ・ドライバー

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タイトル前の襲撃・逃走シークエンスや、タイトル後のコーヒー買いに行くとこなんかは最高なんですよ。まさにカーチェイスと音楽映画の素晴らしさが凝縮しているというか。しかし、ジェイミー・フォックスが出てきたあたりから、なんかさほどハラハラもなく盛り上がりもないっつーか。ジェイミー・フォックスの最悪な感じは凄くいいんだけど、だったら、最後までベイビーを苦しめる悪役に徹してほしかったなと。ベイビーに親切だったバディが最後じゃ、なんか物足りないんですよね。

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音楽ネタなど、ポップカルチャーに詳しければ詳しいほど楽しめそうな作品ですが、そうでもない人にとってはフツーのクライムドラマに見えてしまうでしょう。そりゃ大変惜しいことなんだけど、脚本にヒネリのあるストーリーじゃなかったってのが敗因じゃないでしょうか。あと、やっぱ数年前に「ドライヴ」っつー先輩がいるってのも痛い。抵抗射撃してくる軍人とか、のちの伏線に生きそうなキャラや物が放置されるのも残念。確かに音楽演出のデミアン・チャゼル感は楽しいんだけど…やっぱペグ&フロストのコンビで爆笑させてくださいよライト監督! って感じでした。
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