叡福寺清子

ベイビー・ドライバーの叡福寺清子のレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.0
困った事に視「聴」環境で印象が大きく変わる作品である.劇場での視聴が最適(できれば爆音上映)であるが,それは高難易度であろう.家庭でご覧になる際には5.1chのスピーカー(ヘッドホン)システムをご用意頂きたい.本作は音の洪水の中で登場集及び録音賞にノミネートされながらも結局受賞しなかったらしいが,選考者は耳に変な蟲でも飼ってるんじゃないか.
あとケビン・スペイシー.そりゃ確かに14歳の少年に性的暴行したのは許されない事であるが,すでに30年以上前の事であり,それをもってスペイシーのキャリアが抹殺されるのはもったいない.スケープゴートにされたんだよな,という下衆の勘繰りをしちゃったりなんちゃったり.石塚運昇さんが亡くなられた事も合わせて,スペイシーの居場所が無くなった感があってとても寂しい.
キャストついでに言う人物の行動を耳で楽しむ作品ですもの.
ストーリー自体に目新しいものはない.陳腐といってもいいだろう.街のボスであるドクに対する負債返済のために逃げ屋を請け負うベイビー.全額返済してもドクからは逃れられず,そして敬愛する里親ジョーや最愛のデボラを巻き込み・・・ほらな,どこにでも転がってるお話だ.だがこのお話にサウンドトラックが乗ったとたん,超イケてる(表現自体がイケてないぞ!)作品に生まれ変わる.視聴中「こりゃ新手のミュージカルだわな」と何度も得心した.爆音に浸りながらベイビーの運転する車に乗ったらどんなけ気持ちいいことか.
アカデミーの音響編と,やたら色っぽいラテン系の御姉ちゃん.フロム・ダスクのドラマ版にクレブラの女王サンタニコとして出演してるから,よかったら観て.やっぱりどちゃくそエロいから.