音楽と物語の親和性が高く、例えば本来はシリアスである筈の銃撃戦の場面で銃声や爆音がBGMのリズムに沿っていてどこかコミカルな雰囲気を演出していた。最早ある種のミュージカル映画と言えるのではないだろうか。
また、作中で流れる曲は基本的に主人公である“ベイビー”が聴いているものであり、彼のイヤホンが外れれば曲も聴こえなくなるし、彼がipodで巻き戻しの操作を行えば曲が巻き戻るといったPOVならぬPOL(Point of Listening)的な演出も斬新で面白い。
ここまでは前評判通りでかなり満足だったのだが、それ故に少しストーリーの作りの粗さが気になった。登場人物それぞれの心情や動機が所々物語の進行の為のご都合主義的に感じてしまったのが残念。しかし、それを考慮しても中々に面白い作品だった。
