ほたて

ベイビー・ドライバーのほたてのレビュー・感想・評価

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)
4.8
耳にハンディキャップを持つ主人公ベイビーと人ではない相棒たちによるカーチェイス映画。彼にとっての相棒は車とiPodとテープレコーダー。iPodで耳鳴りをかき消し、爽快にアトランタの町を駆け抜ける様が本当に清々しい。音楽をミックスするという彼の独自の趣味が素晴らしいのはハンディキャップを埋め合わせるだけでなく、自らの趣味や武器に変えてしまうから。育ての父ジョーを老人ホームに送り届け、テープレコーダーに声を吹き込む姿が彼の逞しさの中にある優しさを表している。銃撃戦の銃声を楽器に変える描写はベイビー視点で物語を鑑賞でき、ありそうで少ない演出法。一度、犯した過ちにより、ベイビーの人柄に関係なく人生がドツボにはまってしまう悲しさは「レ・ミゼラブル」を想起させる。「モンスターズ・インク」がセリフと共にそのまま登場したのも良い。監督の粋なオマージュを随所に堪能できる。ニューヨークほどの大都市でないアトランタのダイナーや街並みが新鮮で、いつかアメリカを音楽と共にドライブしたいと思えるカーチェイスムービー。
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