このレビューはネタバレを含みます
海外にて視聴。*英語音声のみの字幕なしだったので吹き替えを後日鑑賞しようと思う
冒頭、『2001年宇宙の旅』パロディから始まり、明らかなコメディ映画であることがここで既に分かる。
要約すると、マスキュライン(男らしさ)を求める弱者男性がラディカルフェニミニズムに叩かれ、フェミニズムさえも超えた「あなたはあなたらしさを求めればいいのよ」というエンド。
全体が風刺、皮肉で包まれている本作だった。
映画というのは(ノンフィクション、ヒーロー物、設定が奇抜なショートフィルムと今では形が色々と変わってきているが)本来独自のストーリーを現実に即しつつも、現実に起きたことをそのまま映すのでは無く役者が表現し、それが返って後から見ると社会背景を少なからずも反映しているところに趣がある、という観点からみると、本作は狙って風刺しようとして風刺している訳で、そこに萎えてしまった。わざわざ直接社会背景を描いちゃうのって、これは"シネマ"として評価していいのだろうか...?と困惑。
『君たちはどう生きるか』よりも「君たちはどう生きるの?」と説教とも取れる内容になっている。
実際、男らしさ(本作では筋肉があること、お酒を飲めること、ゴッドファーザーやカウボーイなどの文化に傾倒することというのが誇張されて描かれている)というのが20世紀まで"カッコイイこと"として良しとされてきたが、女性の権利というものが謳われ、そしてついにはLGBTと、個人の権利(個人主義)というものに移ってきた。それをコメディ調に面白おかしく辿るように描かれている。
ライアン・ゴズリングが他映画でシリアスな役をしている分、ここでは面白おかしく、緊張と緩和の意味で笑える演技だった。
本作とは少しズレているが、映画館には大勢のピンクを纏った人で溢れていて、映画を見る前から世界観に浸る文化というのがとても素敵だった。全身で楽しもうとするこの姿勢、文化。海外ならではって感じがして良かった。