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バービーのAPlaceInTheSunのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.4

公開初日、8割くらい客席が埋まってました。夏休みの中高生から、40代、50代らしい年齢層まで幅広く、中には外国人旅行者と思しき集団もチラホラ。

その外国人達がギャグシーンの度に大声を上げて笑う笑う😄
普段映画見るときは、騒がしい人がいるとイラッとしてしまうけど、この映画はワイワイ笑いながら観るのに相応しい作品だった。その意味で会場が良いヴァイブスに包まれていた。
もう少し若ければ、ピンクの服を来てイベント的に楽しんでもいたかもなぁー🤣🤣 (いや、やらないか。)

【以下、ネタバレありでつらつらと備忘録的にメモ書きします】


・『2001年 宇宙の旅』パロディの体を取ったオープニングがぶっとんでて素晴らしかったなぁ。(ティーザー映像で先に観てしまってたのが少し残念)
 曰く、古代から少女が与えられてきた人形は、子育て人形で、それにより少女達は自然と母親の役割を与えられてきたと。写し出される少女達の洋服は、茶系の地味な色彩なのがポイント!!
「ツァラトゥストラはかく語りき」がデンデンデンデンデンデン♫と盛り上がって行くなか
 〈そんなある日、バービー人形が誕生した〉というナレーションと同時に巨大マーゴット・ロビー演じるバービー人形がド~ンと登場。
少女達は子育て人形を投げ捨て、破壊する。バービーが少女達を解放したのだ!という。
 (しかしバービーがまた別のステレオタイプを少女達に与えてしまうという、、) 
Mattel社えらい!良くこの脚本にGoサインを出した!敬服します!
 映画史に残る名オープニングをシュールなパロっていながら、人々のジェンダー役割(とりわけ女の子についての)に人形が如何に無意識に影響を与えて来たかを描写する。素晴らしいオープニング。

・基本コメディとして進行していき、時折ミュージカルっぽくなったりカーアクション入れたり、多種多様な層のお客さんを楽しませる作り。
 コメディもバービー人形をバービーランドという人工的な現実感の無い世界にトレースしたシュールなギャグや、
 実際の映画作品名(ザック・スナイダー番組ジャスティスリーグや、ゴッドファーザーなど)を出していじったブラックコメディ、誰もが笑える下ネタなどなど多彩。
作品を男女のジェンダー役割・格差についての問題提起が貫いていて、やはりそれをバービー人形というモチーフを使って描いたアイデアが秀逸で、これだけ間口が広く幅広い層にヒットした要因でもあったと思う!
・バービーワールドでは、女性が重要なポストを占めてて男性がお飾り的という現実の人間社会とは逆の構造にした事が良かったですねー 現実社会を生きる我々の、男性にも女性にも両方の立場に置き換えて考える事が出来る作りになってて。
・Mojo Dojo Casa Houseは口に出して言いたい単語😊🏘
・この映画、女性達の解放とエンパワメントであると同時に男性映画としても強烈なメッセージを含んでましたね。映画をトリビア的な蘊蓄で語ったり、音楽の知識をひけらかしたり、車語ったり投資やスポーツを教える事で溜飲を下げる我々男性には身につまされる内容でした😅😅😅
・とはいえ、男女間の対立を描いてはいるけどその対立構造を煽ろうものではなく決着点はジェンダー平等な社会と、誰もが自分自身の在りたいように居られる社会を目指すという決着点が素晴らしかったですね。
・これは声を大にして言いたいけど、ライアン・ゴズリング実年齢と役の乖離がハンパなかったけど、めちゃがんばってたな…労ってあげたい😂
・先述したけどMattel社が良くこの作品にGoサイン出したなぁと思うと同時に、その懐の深さに敬服しました。
バービー人形が少女達に与えた影響がジェンダー的に悪影響だと認めた上で、時代に合わせて変わって行こうという意思を感じた。

エンディングで流れるボツになったバービー人形達も良かった!
妊娠している人形とか背中にテレビ貼っ付いている人形とか😂👍 これまでも試行錯誤の歴史があったのだという。素晴らしい。
・終盤にあのMattel社の社長が登場させた事や、彼女の発言は物凄く重要でしたもんね
・色々な映画へオマージュが捧げられてるんでしょうねー 冒頭の2001年宇宙の旅しかり。全体的な雰囲気はハリウッド黄金期のミュージカル大作っぽさもあり。いつの時代のミュージカルって言うと分からないけど〈イメージとしてのハリウッド大作〉の引用という感じが、「パール」とも共通する。
個人的に、バービーワールドの現実感のない人工的な雰囲気からジム・キャリーの「トゥルーマン・ショー」を連想した。

・ケンの話しでいうと、
ケンって人形ができた時はただ単に[The主役的なバービーちゃんのボーイフレンド]という役割しか与えられてない、いわば添え物的な設定でしたなかったらしい。
 それって現実社会における、[〇〇ちゃんのお母さん]、とか[〇〇さんの奥さん]って女性に対して個人を記号付けしてることを、ケンを使って男女逆転させて浮き彫りにさせてる。そこも秀逸。
 もっと言うと、グレタ・ガーウィグが確か言及してたの思うんですけど、ケンとバービーは聖書におけるアダムとイブの誕生に準えてもいるなぁと。
 旧約聖書では、イヴはアダムの骨の一本から作られた、と。
それを男女逆転させて、ケンはバービーあってこそのケンでバービーの添え物だという感じですかね。
 その辺りを考えると、生死の概念がない作り物のバービー人形(もちろん生殖器がなく〈お又はツルペタ😂〉)が
 ある日、死について考え、冒険の果てに本当の人間になる、っていうのは、どこかピノキオ的なお話しとも言えそうですね。
最後は産婦人科に行ってましたし。
・その意味では、死と生殖についての映画でもありました。

・ただ、とても面白かったけど、所々で説明過多で記号的なお話しとも感じたりもした。まぁ、それは若年層も置いてけぼりにはせず、誰にもわかりやすい物語を作りたかったのかなぁという気はしました😄
 あと、映画というよりTVコメディ、もっというとコントを観て笑っているような感覚葉あったなぁ。
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