グレタ・ガーウィグ監督最新作
バービーを実写化した作品。
バービーランドに住むバービーは幸せな生活を送っていたが、ある時死を考えたり、老化を気にしたりと自分の体に異変が起きる。
現実世界に生き、その亀裂を止めに行くが、女性が活躍するバービーランドとは違い、現実は男性が多く支配していたのだった…。
バービーの映画でふざけてるのかと思いきや、女性参加の硬派なテーマを描いていました。
それだけでなく、1つの力が集中してしまうと逆側は犠牲になるという矛盾点も指摘してます。
それがバービーランドの女性が活躍されすぎて男性が曖昧なキャラになってしまうこと。その象徴がバービーの彼氏ケンです。ケンはカッコいいだけで何も持ってない男。
そんなケンが現実世界で男性が活躍してるのを見てバービーランドで反乱を起こす。現在の女性のフェミニズム運動の逆をやる。すごく挑戦的なテーマですね。
現実世界でも、女性の社会参加や蔑視の問題が改善されていくことはとても良いことですが、今度は男性に不利な社会も出来上がっていると感じます。男性のルッキズムやマッチョイズムなどの性的搾取ほか、男だからという理由で生きにくい社会も生まれてしまっている…。
この映画はそこを突いていて凄いです！
今まで何者でもなかったバービーが本当の自分を見つけようとする部分は過去のグレタ・ガーウィグ作品にも通じる点だと思います。
ただ、後半の展開はちょっと長いしすべてを回収出来てなかったようにも感じました。投票で、女性と男性の不満点をぶつけ合って欲しかった。
また、話し合いやセリフのみで問題が解決してしまうのも映画的ではなかったと感じます。行動を通してバービーとケンがしっかり回答を出してほしいです。
また、マテル社の人間たちもバービーランドに来たのに何の障壁にもならず和解するのも弱いなと思い、あの親子の亀裂もすんなり解決してしまうし。
ブラックコメディとしては優秀ですが、アメリカ特有のギャグが多くて理解できない部分も多かったです。ノア・バームバックのセリフの多い脚本のせいかも。
バービーの実写化としてはとても面白い映画でした！
