多様性の国らしく、人種や障害者に対応して車椅子の人形まである。リカちゃんとは、比較にならぬほど意識高い系のバービー。
一方で、バービーの付属品であるケンはandケンなのだww
『バービーランド』では、バービーが主役でケンは添え物。
それが人間社会では、男性優位で女性は添え物扱い。
毛皮のスタローンを見て、男性優位に目覚めたケンがバービーランドでマッチョイズムを発揮するギャグ。
4時間もギターを弾き語るとか、『ゴッドファーザー』の解説をしたがる等、あるあるネタで男たちのおバカぶりを揶揄する。
男たちのナルシストぶりや上から目線は笑い易いのだが、女性あるあるはギャグとして消化し辛いようだ。
それらはバカバカしく笑えるものではなく、深刻な悩みや不満だから。
愚痴を聞かせて洗脳を解くギャグも、ゴッドファーザー自慢の男程には笑えない。
男のアホらしさは戯画化し易いが、女性のアホらしさは戯画化し辛い。
アホっぷりの後、バービーもケンも自分らしく生きれば良いと最終的には示される。
所でリカちゃんのBFは、わたる君~はると君まで6人もいるそうだ。現実を生きるリカちゃんには、BFひとりでは収まらないのだろう。
個人的には、『リカちゃんと6人の男たち』というのが見てみたい。
6人の男の子とのラブコメでも良いし、リカちゃんを殺したのは6人のBFの誰かというミステリーでも良い。
女性が社会で感じる抑圧は、日本の少年たちにも濃厚にあるだろう。
話題の『ジャニーズ』も、爺のイチモツをちんすこうしないとスターになれないという抑圧。
『少年ジャンプ』の友情・努力・勝利を達成しないと、ヒーローになれないという抑圧。
バービーが完璧なスタイルや職業で女性を抑圧していると言うなら、ジャニーズやジャンプも少年をかなり抑圧しているだろう。
『ジャニーズランド』 や『ジャンプランド』 から、現実世界に飛び出した少年たちの苦悩とあるあるを描いて欲しいものである。
だが性加害を公表するのに、海外からの突き上げがなければ出来なかった。黒船が来ないと変わらないのが日本社会だ。
この国で『バービー』のような映画を作れることはないだろう。
まして自己批判的な映画を、当の人形会社が作るのが米国だ(映画製作しているのは、マテル社というバービーの会社)。
『ジャニー』という暴露ドキュメンタリーを、ジャニーズ事務所が作ることは永久にないだろう。
『ジャンプランド』の友情・努力・勝利の世界から、飛び出す主人公もいないだろう。
怠け者の悟空や孤独死するルフィを、集英社は制作しない。
抑圧が、いつまでも抑圧として機能する国。メイド・イン・ジャパン。