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バービーのmidukiのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.8
2023.12.25.
Amazon prime Video

女児のパートナー、お人形
その歴史は赤ちゃんを模した人形からスタート。おままごとに使われていた。
そのうち、時代の閉塞感・完璧じゃない現実のままならなさから、"完璧"な偶像の着せ替え人形バービーが開発される。
完璧なプロポーションと美貌、おしゃれなお洋服、かわいいお家。

そして、すべての女の子がバービーで遊ぶようになった頃には、バービーは大統領で、ノーベル賞受賞者で、最高裁判事で、医師で、工事業者で…肌の色や目の色、人種、車椅子に乗っているなど、さまざまな特性を代表しうるバービーが登場した。女の子たちには「何でもなれる」と夢を抱かせた。
…はずだった。

人間社会に揉まれるうちに、完璧な美貌で、完璧な知性を持ち合わせていて、生理や妊娠出産、更年期、閉経、老い、肥満などの健康問題とは無縁のバービーに、バイオリズムや不確実性があり、完璧とは程遠い現実の自分を重ねることは難しくなっていた。

バービーに迷惑している、とまでの過激な発言にはびっくりしたが、深く考えればまあ、気持ちはわかる。

一方のケン。
バービーの添え物として扱われてきたケン。
現実社会で男たちの振る舞いにカルチャーショックを受ける。男がのさばっている!と。
ケンはケンである。
では、何がケンをケンたらしめているのか?
らしさの呪縛からの解放。

男性も女性も、性別とらしさをガチガチに括り付けずに自分とは何なのか深く考え、他者依存はやめて、自立しよう。
他者を尊重して生きていけたら。

セルライトがあって抑うつで、髪はくしゃくしゃ、メイクもどろりのときがあってもそれも私だと認められる、っていうのはメンタルが健康な証だと思うわ。(自己同一性)

女の子のおもちゃをおじさんたちが雁首揃えて会議して開発方針決めてるシーンにはギョッとしたが、COOのおじさんの本音にはハッとした。おじさんの良心。

有害な男らしさはいらない。
デザイナーママの"洗脳解除"フェーズのキレキレなスピーチ好きすぎる。

○SNSの担当者に問題はあったけど、作品のメッセージには、1人の普通の女性として大変勇気づけられました。後日彼氏と一緒にもう一度見ようと思います。

○ バーベンハイマーのミーム問題の件があって、大きな声で勧められないのが辛い…
性別による不当な格差、他者からの"らしさ"の押しつけ、それらが霧散するわけではないけど、マシにすることはできる。諦めてはいけないと、でも説教臭くなく、テンポ良くユーモアに溢れた演出と共に訴えてくる。

○ エンドロールもラストシーンまで見どころ満載だし、バービーマニア垂涎の小ネタも散りばめられてて、本当に楽しくて、ちょっと現実見て憂鬱になったあと、勇気づけられて…。私は好きです。

○バービー、男の人たちにも観てほしい。

○ 私は自立した女性でありたいけど、彼氏を愛しているので、彼氏に使われるのではなく、自らの意思で手助けをしたり、逆に手伝ってもらったりお互いさまでやっていきたいですね。

○ラストシーンは、ピノキオのようでちょっと泣ける。

○みどころ(聞き所):製作者メモ

○あなたに認めてもらえなくとも、私は私で、あなたはあなた。何か行動を起こすのに許可なんて必要ない。
でも、自分のことも他人のことも認め合っていきていきたいよね。
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