バービーのdaunyのネタバレレビュー・内容・結末

文脈がわからんなぁ。高度なフェミニズム映画かと思ったら最終的には歪な構造を追認する形になって、むしろフェミニズム性を否定しているようにしか見えない。

ユートピア系のSFでよくあるようにバービーランドはバービーたち女性の理想郷的に描かれる一方で、社会的な地位も占有しており、そこに暮らすケンたちにとってはまともな自尊心さえ育たないような環境という実社会の男性社会を裏返したようなディストピア。

ケンたちが現実社会から男性社会という像を輸入して、バービーの理想郷がケンの理想郷に転じるのは話の構成として理解できる。だけど、ケンから権力を奪うためにバービーたちが取る手段っていわゆる女を使うみたいな手段で自立性みたいなものとはかけ離れているし、最終的にケンたちから権力を取り戻したバービーたちはケンへの一定の社会参画を認めながらもかなり慎重で、最高判事の地位をケンに与えることは明確に拒否し、下位裁判所？からはじめるようにする。理想郷は現実を一部得るが、やはり不平等は撤廃されない。

加えていうなら、バービーを製造するマテル社の取締役以上は全て男性が担っており、ここに女性がいないという問題は全く解消されないままバービーの個人的な願望の成就(出産？)で物語は幕を引く。

フェミニズムというより家父長制や男性社会を追認するような構成にしか思えず、そういう風刺や、あるいはフェミニズムへのラディカルな批判でないならこの映画の立ち位置が全然わからん。