イマジンカイザー

アイリッシュマンのイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

アイリッシュマン(2019年製作の映画)
4.6
ざっくりと雑感を言うならば、マーティン・スコセッシの「ゴッドファーザー」。尤も焦点はドンではなく、ヒットマンの方になりますが。ある種華々しく散ったあちらと異なり、文字通り酸いも甘いも乗り越えた半生を描かれていて、若く溌剌とした前半と、重苦しい後半との対比が凄まじい。
210(三時間半)分という尺でインターミッション無しなのはどうかと思いましたが、終わってみれば意外とダレずに見られてびっくり。

殺して、脅して、また殺して。でもそんな彼らにも生活があって。名を成し財を成してゆく中で、どんどん普通の生活からかけ離れていくのがらしくあり、後半に至る中でひたすらに物悲しくなってゆく。
家族の為にとはじめた仕事のせいで、最後までその家族にそっぽを向かれるのが、世の常ではあるけれど虚しい。

前述、殺し殺されが横行すると書いたものの、その辺はだいぶカラっと済まされて、えぐいシーンはほとんどなし。ただまあ、向こうのマフィアの悪しき手口がこれでもかと飛んでくる。そういう意味では令和時代のゴッドファーザーであり、優れたマフィア映画ではあったかなと。