いずぼぺ

ノクターナル・アニマルズのいずぼぺのレビュー・感想・評価

ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)
3.6
難解というより、捉え方がいくつかある作品というべきか。
「復讐」?「歪んだ愛」?
元夫エドワードから送られてきた小説のゲラ刷り。スーザンはそれを読み進めるうちに脳内で映像化しはじめる。主人公の父親トニーの顔は元夫である…。
暴力的で救いのない物語だが、才能の開花をスーザンは感じて再会を望む。現在の冷え切った関係の現夫から逃避したい欲求もあるだろう。
エドワードとの出会い、高まり、結婚、別れを反芻するスーザン。彼女も私たちも衝撃的な結末の小説の意味をくみ取ろうとしている。
まずこの小説をエドワードからスーザンへの復讐としたなら。過去に否定された才能を見せつけること自体も復讐だし、それがもたらす栄誉を彼女は分かち合えないことも復讐だ。作中で妻はレイプされ殺害されている。それを主人公が救えなかったことも復讐かもしれない。そしてあの結末自体がエドワードがスーザンとの永訣の別れを暗示しているのでは。復讐するなら墓穴ふたつ、自らの化身にも終止符を打った。二人の間にはもう死しかない。だから…彼は現れなかった。
語りあいたくなる作品ですな~。
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