『ゾロ』のコンビ、ドゥッチオ・テッサリ監督×アラン・ドロンによる伊仏合作クライム・アクション。
闇社会から足を洗おうとする腕利きの殺し屋が、マフィアに妻子を殺され、復讐を誓う。
🔫😮
期待していた以上に面白かった。予兆があり、来るか来るかと待ち構えていたとはいえ、その驚愕のラストには思わず声を上げてしまった。
激渋マカロニ・フレンチノワール。ジャン・ピエール・メルヴィル作品を想わせる哀愁漂うスタイリッシュなフレンチノワールの世界に、マカロニ・ウエスタンに登場するワイルド&セクシーなイタリア人と血生臭いヴァイオレンスを加えたような趣。
ムードのあるジャズと、青味がかった映像、雨・雲・霧と湿度高めな天候が特徴。ストーリーは『ジョン・ウィック』のようなシンプルな復讐劇だが、『ゴッドファーザー』のようなマフィア組織の複雑な人間関係が絡んでくるので、少々ややこしさも感じた。
当然、スター俳優アラン・ドロンの魅力も味わえる。映画史に残るトレンチコート俳優として本領を発揮していて、襟を立てて雨風を凌ぐ仕草なんかは男前の極み。
本格カーチェイス、カースタントに興奮した。車が飛ぶ、クラッシュする、転がる。フロントミラーレベルのショットが面白い。
マカロニ・ウエスタンっぽい過激なヴァイオレンスに衝撃を受けた。特に、拷問シーン。野郎たちが女性に対して集団で暴力を振るったり、捕虜を車ごとバーナーで焼いた上にプレス機にかけたりと、エゲツないことをサラッとやっている。他にも、女を熱湯風呂に落として高笑いしたり、射殺された遺体がトンネルの壁に何度も打ち付けられたり。車の爆破シーンも、その絶妙なタイミングに驚かされた。
敵のボスは、『ゴッドファーザー』ドン・バルジーニ役のリチャード・コンテ。狡猾な大物感がハマっている。
アルファ・ロメオ。
296