垂直落下式サミング

めくらのお市 みだれ笠の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

めくらのお市 みだれ笠(1969年製作の映画)
3.5
めくらのお市シリーズ第3作目。
素絹を着た集団に殺された男に火薬製造法を記した巻物を託されたお市が道中刺客に襲撃され、孤児となった百姓の子供たちや素浪人の伊吹吾郎の手を借りながら、爆薬製造のやくざな稼業に手を染めた悪人たちを斬り倒していく。
まぁ、よくある話で、この巻物は核兵器の発射ボタンであったり、デススターの設計図であったり、五人の子産み女であったりと、「特に意味はないけど誰かにとって重要なもの」を取り合うという物語であり、オーソドックスな娯楽映画のフォーマットに則った作品であると言える。
最初の伊吹吾郎との決闘の場面はなぜか取り直しをしたようで、カットが変わると急に空の明るさが変わる。アクションにおいても、お市が自ら鞘を手放してしまうなど変な描写が多い。ラストで鞘を逆手に持って帯に差し込んでいるのが確認できたので、もう一度前の場面を確認したてみたらやっぱり捨てていた。杖ってけっこう大事なんじゃないか?
爆薬をめぐる話なので、最初の雷の件が後に市が轟音に弱いことの伏線になると思っていたのだが、最後まで危なげなく悪人をぶち殺す様式美。天晴れである。