ゆうた

大いなる陰謀のゆうたのレビュー・感想・評価

大いなる陰謀(2007年製作の映画)
4.0
おもしろい。

ロバートレッドフォード演じる大学教授と学生との面談。
トムクルーズ演じる若き上院議員とメリルストリープ演じるベテラン記者のインタビュー。
そして、アフガニスタンでの極秘作戦に従事する二人の特殊部隊員。
この三つの場面の会話劇で進行する。
邦題の「大いなる陰謀」を期待して見るとめちゃくちゃ肩透かしされるし、ポリティカルスリラーってほどには誰も危険な目にあわないけど、全体的に上質な会話劇として楽しめる。

いかかでしたか?
ここから先は、我々ひとりひとりが考えるべき問題ですよ!
と言わんばかりのオチで、若干というか、かなりお説教くさいが、劇中で展開される会話がスリリングなので、特に何かが起こっているわけでなくても退屈しない。
アメリカ映画って本当にこういう会話劇を描くのが上手いと思った。
珍しくトムクルーズが悪役っぽい役だし、その相手役となるメリルストリープもそれほど目立った活躍の場面はないのだけれど、トムのあの爽やかだけどインチキくさい笑顔が有能で野心家の上院議員という役柄にあってるし、メリルストリープは信念と生活で板挟みになったジャーナリストをさすがの演技力で演じている。
作中最も面白いのは教授と学生の会話なんだけど、最後にDirected by Robert Redfordの文字を見て、
だからか!
おまえ、一番美味しい役を自分でやったのか!
と納得。

脚本を書いてるマシューマイケルカーナハンという人は、他にもこういう政治的な題材を扱った脚本をいくつも書いていて、本当に真面目な人だし、同時にアクションも会話劇もできる優秀な人だなと思った。
まあ、それを言ったら、こういう小品に、しかもあんまり好ましい役ではないにも関わらず出演するトムクルーズもただのスターではなく、誠実な映画俳優だ。
ゆうた

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