「底に流れる諦念を静かに受け入れつつそれでも生きる」っていう雰囲気。
皆が抱えている問題の綿毛を掬い取って、ふわーっと宙にはなしていくような。
男にとっては認めたくないセックスについての事実をジュリーがズバッと説明するシーンでは「やめてくれ!」と思ったけど
アビーの「男は否定されるのが嫌い、幻想が好き」っていうセリフでさらに追い討ちをかけられたり、
ドロシアが吸っているセーラムやビルケンのサンダルやウサギの彫り物を写真で切り取ったワンカットで、アビーのあの写真撮りをドロシアにもやったんだなっていうところで勝手に泣けたり
なによりやっぱりアネット・ベニング演じるドロシアの母親っぷりよ…!
スケボーに乗って前を行くジェイミーを後ろから不安げに車から見守るあのシーン一つで、まさに息子が手元から離れていく瞬間を映し出すっていう、その…もう…ね!
母親と真実を語り合える瞬間が一度でもあれば、報われる。
ダラダラっとぼーっと見てこその素晴らしき退屈な映画だけどきちんとグッとくるシーンも続く。
あれ、これある種理想的じゃね? 傑作