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レディ・バードのtのネタバレレビュー・内容・結末

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

本編主人公レディーバードの大人へのイニシエーション映画でもあり、母親視点から見る親子の映画としても同時に進行しているように見えた。

NYや東海岸への憧れや何者かになるといったポジティブな目的を持った進路設定ではなく真反対であり、身の回りに存在する様々なしがらみや嫌悪感、閉塞感に対する回避を目的に将来の設計をしているように感じ取れた。
17歳から18歳、たった1年後に彼女は大人というカテゴリに分類されるようになる。家庭環境、特に母親との関係も良好ではない中、衝動的に判断していく姿を現在の自分にも照らし合わせて考える。プライドが高く、万能感に溢れたティーンエイジャーは恐ろしい。

母親も娘に対して素直に愛情表現出来ないことや、彼女の考えを一方的に押さえつけ、寄り添うことがないような節が度々見られる。夫の失業などからの余裕のなさや母の愛を受け取れる環境になかったからだと考えられる。

彼女のNY行きが決まり、遂にサクラメントを出る日が訪れるが、母親との心の距離は縮まらないままだ。新居に着くとクシャクシャに丸められた跡が残っている母親からの手紙を見つける。そこには彼女に対するまっすぐな愛情表現が認まれていた。近所の教会で聖歌を聴き、母親に留守番電話のメッセージを入れる。彼女は母親から名付けられた「クリスティン」を名乗る。このシーンはレディーバードがこの一年間の間に経験した様々な「初めて」を経て成長したことを最も上手く表すラストシーンであったと思う。
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