このレビューはネタバレを含みます
若さとは無知であることと、それ故に純粋であることだが、正直で真っ当であるからこそ傷つきやすく、不安定だ。
冒頭で少女の面影を残していたレディ・バードは、最後には大人の女性であるクリスティンへと見事に成長している。
親との齟齬や友人とのすれ違い、異性との接触(及びセックスの体験)を通じて、彼女はぐいぐいと前へ進んでいく。
常に被害者然として、フラストレーションを溜めていた子どもは、自分で自分の道を、未来を切り開き、その地へと降り立ってみると、いつのまにか大人になっていた。
きっと、本人にも自覚がない、そのシームレスな成長を圧倒的リアリティで以て丁寧に描いたことこそ、この映画の偉業だ。
実在するティーネイジャーにしか見えない素晴らしい演技を繰り広げたキャスト陣と、何よりもグレタ・ガーウィッグに拍手を!
願わくば、女性に生まれ変わってもう一度観直したい。きっと、もっとえぐい刺さり方をするはず。