011everyday

レディ・バードの011everydayのネタバレレビュー・内容・結末

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

青春映画のニュークラシック。

サクラメントをドライブする母と娘のカットバックがほんとうに素晴らしかったです。こうしたかたちで、母娘のつながりの深さが語られるとは。上京してきた人間のひとりとして涙。

個人的なことは政治的なこと。
ひとりの人生の岐路において、その国の政治状況(9/11からイラク戦争へ)や経済(ITバブル崩壊とその煽りによるダウンサイジングと格差)、社会問題(コロンバインの記憶、中絶問題、LGBT、人種問題)、文化的コンテキスト(サクラメントの格差、保守系文化)はしっかりとインパクトを持って立ちふさがってくる。それらを政治的な訴えのための道具としてでなく、レディバードの人生にとって必然性をもって語られているのがすばらしいなと思い。

きちんと人々の人生を描こうとする誠実さを感じました。たとえ青春映画によくある役割だとしても、それぞれの人生があることを引き受けているというか。CDコレクションを売れ筋ばっかじゃんと馬鹿にされて、でも好きなんだよ、と返すのは良かったなあ。。

また、感情の解放、をともなうシーンがどれも素敵でした。演劇ワークショップの神父、笑ってしまったけど彼にも深い絶望があり。。。カフェの裏でのダニー、プロムに向かうジェニー、カイルの家に来てもらった時のレディバード、空港でのお母さん。。誰にも抑圧されてきたこと、矛盾する感情があり、それを伝えられることの尊さ。

とにかくセリフがよくて、ポンポン繰り出される、適度に想像の余地を残す余白をもったやりとりが最高なんですけど、大事なところでハグで語りあうのがよいです。

カイルのバンドの2002年っぽさ最高、とか細かいところはほんとにいろいろあるのでもっかいみます。

パンフにあわせて、二本立てでみるなら、
トイストーリー3とかどうすかね。
実家出る映画の傑作として。
アンディのお母さんの声優は母役のローリーメカトーフさんとのこと。
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