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レディ・バードのmaiのレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
4.6
すごく好き、本当に好きな映画になった。

とにかく田舎での女子高生・レディバード(クリスティン)の葛藤(大学に友情に恋に…)を描くだけの作品なのですが、見終わった後の余韻がすごい。なんだか、レディバードと一緒に青春を過ごしたような…そんな気分になって、ずっしりときます。もちろん、重たいとか暗いとかの意味ではなく、この映画が心に占める割合がすごく大きいという意味です。
まず彼女のサッパリとして、自分の欲に忠実で、でも周りは気になる…みたいな10代真っ盛りの性格が愛おしいくらいに素敵でした。もう誰しもが通る道なんですよね、親につっかかっちゃうし、イけてる集団とつるみたいし、「特別な自分」に憧れる。
けれど、そこを越えて、自分の身を置く場所を見つけられたクリスティン(レディバード)はこれからどんどん強くなっていくと思いました。お母さんが望んだように。きっと彼女もお母さんのような、少し?頑固だけれど子供想いのステキな大人になるのだろうなぁと思いました。
そして、演出がオシャレで秀逸でした。
衣装や小物など…色あざやかで、それが画面のちょっとレトロな感じの加工にぴったりと合っていて、映画の雰囲気をより一層高めてくれてました。全面ピンクの壁紙に、全面スカイブルーの家。最高に可愛かったです。さらに、レディバードが着てる服も可愛いんですよね。どこかミステリアスな面影のある顔立ちなので、赤い髪と相まってちょっとダサいような服でもファッションに見えてしまうのが不思議です。

キャストの面々もすごく良かったです。
レディバード役のシアーシャ・ローナンはどこかで見たことあるな、と思ってたら、グランド・ブダペスト・ホテルのアガサでした。笑
目の色が綺麗だし、抜群のスタイルに、笑った時の表情なんかがいちいち可愛いし綺麗で素敵でした。さらに、癇癪起こしたような怒り方やお母さんに縋るところなんかがまさに10代って感じで…家族が大事なのに、ついつい意地を張ってしまうし、恥を感じてしまう。思春期!って感じでした。
母親役のローリー・メトカーフも…いかにも頑固な母親って感じで、大黒柱として頑張ってる姿と娘と同じ性格が故の衝突が印象的でした。最後の、出発ターミナルに戻って来るシーンなんか泣いてしまいました。
そしてティモシー・シャラメ!
出てたんだ?!という感じで、全くノーマークの映画だったので、出てきた瞬間歓喜でした。笑
性格的には面倒臭そうだし、いかにもバンドマンって感じで好きにはなれないけれど、ああいうちょっと闇があって集団と距離を置いてるミステリアスな男の子って絶対にモテるし、魅力的に写りますよね。
意外とロマンティシズムなレディバードとは性格は異なりましたが、ビジュアル面的にはお似合いですよね…。というか、シャラメはやっぱり美しすぎます。

レディバードの青春を描いた作品なのですが、全然重たくはないのに観終わった余韻はいつまでも引きずっちゃうくらい心に残る作品でした。
そしてふんだんに使われてるユーモアが良かったです。すごくシリアスな雰囲気なのに「でもプロムには行くよね?」とか聞いちゃうところや、「あの家に住むためにおばあちゃんも殺して、その家族も殺しちゃう」とか言ってのけたり。逆に、ドレスが入らない!拒食症になりたい!とつい数秒前までいってたのに、お母さんとの何気ない会話で「じゃあ今が最高だったら?」と答えに言い淀んでしまうような純粋な質問をぶつけてきたり。
セリフが効果的に使われてて、ハッとさせらるれし、逆にシリアスになりすぎてしまいそうな雰囲気をフッと壊してくれてました。
シリアスとユーモアのバランスがちょうど良くて、何回も見返したいからレンタルしたばかりだけど、購入しちゃおうか…と考えてます。笑

こんなに点数が高いのは、ストーリーとかキャスト・演出が好きだったってのもありますが、もうひとつ大きな要因としてティモシー・シャラメが出てるってこともあります。笑
出てることを全く知らなかったので、出てきた瞬間本当に歓喜だったし、なんならちょっと中二病入ってるような影のあるチャラ男?って最高じゃないですか。
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