じの

創造と神秘のサグラダ・ファミリアのじののレビュー・感想・評価

3.4
サグラダファミリア建設に携わる者たちはみな独自のガウディ像を持ち、それを頼りに建設に打ち込む。当然それらは万人が同じ像を持ちえないので賛否両論が巻き起こる。一方携わる当事者たちはガウディの判断を仰ぐことができない中で決断しなければならないという苦悩の中で作業を続けるのだろう。技術革新を取り入れるかどうか、彫刻家の意向をどれだけ反映するかどうか、答えのない問を内包し続けるのである。

時代の変化の中で、サグラダファミリアは常に議論にさらされる運命にある。それは教会という建物の特性上、建設に期限が設けられないことに起因する。その分芸術性をどこまでも追及することも可能であるが、これまでには地域の事情の変化で民主的な手続きにより周辺住民や経済政策が優先されることも多かった。

芸術としてどうあるべきか、またサグラダファミリアという存在を周囲の人間がどう扱うべきか、この映画ではそれらを問いかけてくる。
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