Yoshishun

デスノート Light up the NEW worldのYoshishunのネタバレレビュー・内容・結末

2.7

このレビューはネタバレを含みます

これを観て確信した。

前二部作(スピンオフなんてのは知らない)の成功は、やはり主演二人の功績が大きいということを。

藤原竜也と松山ケンイチの頭脳戦が大きな魅力だったデスノートシリーズは、6冊ルールと登場キャラの増加により、とうとう頭脳だけでは太刀打ちできないような作品となった。「ノートが銃に勝てるわけないだろ」と元も子もないことを言い出す始末に。

本作は前作から約10年後、つまり前作公開時から実際と同じくらいの月日が経っている。"やがみ"と打つと予測変換に""夜神月""が出るほど、社会現象化したシリーズであったことは間違いない。原作でのやり取りをまるでそのまま切り取ったかのような、如何にも演劇らしい台詞回しが鼻につくことはあったが、それでも藤原竜也の冷酷かつ非道な顔芸や叫び演技、松山ケンイチの漫画的かつ面白すぎる演技を余すことなく楽しむことができた。一応完結編『the Last name』も映画オリジナルながら、まずまずの満足感を得られる結末が描かれていた。

完結から10年ぶりとなる本作は、デスノートが地上に6冊も存在することが明かになり、キラ対策課、新生キラ、そしてLの後継者による三つ巴の争奪戦が展開される。前回がキラ対Lというわかりやすい対立図だったにも関わらず、今回はさらに複雑な構成に。

ただ驚くことに、2人だけでも巧妙なトリックが散りばめられた作品だっただけに、それが複数人しかも3体制になったことにより、とうとうトリックとかそんなものはあまりない。変わりに、ノートに対抗できる銃による脅迫やら銃撃戦が増えた。新しさを目指した結果、デスノートの持ち味である頭脳戦が極端に失われてしまった。

さらに、作中の頭脳戦もかなり拍子抜けで馬鹿ばかりなのも確か。ネットではバカノートと揶揄されたのも納得。しかも相手は死神の眼を持つ者にも関わらず、アホみたいに素顔晒していく無能な警察が多いなど、演出や設定にも無理がある。特に夜神月の後継者育成の件ははっきり言って無理がありすぎる。

ただ結末としては、これまでのシリーズにはない新しさがあり、好感が持てた。とことん罪人を懲らしめるなど、LにもかなりドSな一面があったが、今回の竜崎の選択は罪人の救世であった。まるで社会貢献と云わんばかりに強引さも否めないが、敢えて罰を与えず、キラとして暗躍した経験と警察として活動した経験をも兼ね備えた最強のLの誕生は、今後のシリーズ展開に大きな意味を持たせるのではないかと思えた。

キャストは問題ないのに、脚本や演出が陳腐なためにかなり薄味となってさまった今回のデスノート。あの二部作の続編が失敗することも夜神にとって計画通りだったのか?
次回作に期待。
Yoshishun

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