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ブルーに生まれついてのktyのレビュー・感想・評価

ブルーに生まれついて(2015年製作の映画)
4.0
50年代に、一時はマイルス・デイビスと並び評され、中性的なボーカルでも人気があった白人トランペッター、チェット・ベイカーの生涯を描いたほろ苦くも美しい佳作です。

ドラッグまみれで破滅的な人生ながらも再生する男の生き様をイーサン・ホークが熱演し、ハラハラドキドキの再生への歩みの生き証人になった気がする映画でした。

アメリカ西海岸の砂浜やハリウッドの邸宅、映画スタジオ、路地裏、中部の周りに家がない田舎町から、東海岸ニューヨークの名門ライブハウスバードランドと、ロケ地が素晴らしいです。

アメリカに行った頃の思い出と重なる風景から、風や臭いがリアルに感じられました。

このような感想を映画で抱くことはめったにないのですが、その理由は、ロング・ショットで数々の素敵な風景と重なる、失意まみれのチェット・ベイカーとトランペットが表現する孤独と葛藤に共感したからでしょう。

また、彼に連れ添う恋人、プロデューサー、保護監察官、両親が、落ちぶれた彼に優しく接するところが、人は一人じゃ生きられないんだなあと考えさせられました。

音楽も哀愁のあるジャズの名曲ばかりで、彼が歌う歌詞の日本語訳も良かったです。

落ち込んでるときに観ると、つらいけど救われる映画です。

ただ、マイルス・デイビスは似てたけど、身長が本人より高かった気がしました。
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