ヘンダーソン

ブルーに生まれついてのヘンダーソンのレビュー・感想・評価

ブルーに生まれついて(2015年製作の映画)
4.2
とにかくイーサンホークの枯れた演技に尽きる。
じっくりと感じさせるチェットベイカーのメンタルの安定と不安定。
面白いのはチェットの最盛期は全く描かれないということ。過去について触れられるのも、マイルスに見下される場面のみ。
変にキャリア全てを追うのではなく、ドン底から這い上がろうともがくチェットにフォーカスを当てた作りは正解だと思う。

基本的に心が弱く自分に本当の自信を持てなかった人なんだろう。トランペットなり女性なりドラッグに支えられることで自分を保つことが出来る。
その不安定さは、父親から認められなかったからなのか、音楽の深いところまで辿り着けなかったという後ろめたさがあるからなのか。
ラスト、パートナーを裏切り再度ドラッグにも手を出してでも、よいパフォーマンスの望むチェットの業が深い余韻を残す。