Jeffrey

ストーストレーム橋のJeffreyのレビュー・感想・評価

ストーストレーム橋(1950年製作の映画)
4.0
「ストーストレーム橋」
本作はシェラン南部の2つの島を結びつけるヨーロッパ最長の橋だったそうだ。多分、今はきっと違うと思うが…。この作品は映像を見る限りドライヤーの凝った演出が非常にわかる。建築的で美術的な構造を軸にしている分、何かしらの主義が主張されているのかと思ってしまう。余談だが、この短編映画は7分間位で、これに関して監督自身45日間の日数をかけていると言うこだわりぶりは圧倒される。きっと入念にテストを重ねた結果だとは思うが、この作品は素晴らしいものになっている分、良い結果だとは思う。橋の下の部分から撮影されたワンショットが非常に心に残る印象的なものだった。まるで絵画の一部を見ているかのような、まさに建築映画の秀作だ。本作が冒頭から美しい原風景が写し出されていて、その中に近代的な建築物がそびえ立っている。そのカットバックや動く被写体をカメラが絶妙で綺麗だ。青空の描写に川辺の描写、草木青しげる草むらや列車が映される。そしてデンマークの国旗が刺さったボートが画面に登場する。そして激しいオーケストラのサウンドが臨場感を与える。やはりこの手の作品のモノクロームの美しいコントラストは見ていてため息が出る。そして複雑に設計された橋の技術的な面も垣間見れて、非常に素晴らしい短編映画だ。またロングショットで橋を捉える空撮は圧巻だ。まるで別の宇宙を見ているかのような感覚に陥る。そして演出なのかわからないが鳩が飛ぶ描写などが一瞬映るのも個人的には好きだ。それと釣りをする男性の描写や、機関車の先頭部分をクローズアップしたり、なかなか面白い演出もある。素晴らしい。
Jeffrey

Jeffrey