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定職/就職のmareのレビュー・感想・評価

定職/就職(1961年製作の映画)
4.0
日々一喜一憂しながら働いている身からすれば、オフィスのドライな空気感の切り取り方や些細な救いがリアルそのものでただただ同情しかない。ここ最近の自分の職場環境とリンクするものもあって、無理矢理有休にして観に行った甲斐があった。主人公の浮かない表情だったり、ただデスクに座っている無力感というものはやはりネオレアリズモ的であるとしか言いようがないが、オルミらしいユーモアも軽妙に織り交ぜていて優れている。労働の根本的な部分についてはやっぱり何年経っても変わらないものはあるなと思い知る。出世して成功するか、逃げ出すか、感覚が麻痺しながらも歯車の一部となるか、逃げ道はいくらでもあるが選択肢は数えるほどしかない社会そのもの。
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