7年前から施錠された部屋に監禁されている女性と、彼女がそこで出産し、外の世界を知らずに育った5歳の息子ジャック。二人だけの監禁生活と、そこから外の世界へと脱出した後の2幕構成で描かれる。
物語は少年が狭い部屋から広い世界へと実感を広げていく過程と、その母親が広い世界のなかで徐々にまた狭い部屋へと押し戻されていく苦悩を同じ状況の下で描いている。同じ経験をした親子でありながら、世界が全く違って見えるその苛酷さが物語の核心といえる。
監禁や誘拐、という言葉から連想するグロテスクなテーマは一切含まれず、親子という自然な関係がもたらすお互いの労りに満ちたこころに染みる秀作だった。
引用:http://beagle-voyage.com/movie-review-room-2016.html