アロユニ

ルームのアロユニのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.8

世界は広すぎる。だから時間が少ない。薄く伸ばしたバターみたいに。


観ていて辛かった。ひたすらに可哀想だった。だから、最後の"サヨナラ"が嬉しかった。


"へや"に監禁された7年間。そこで生まれた5歳の息子。決死の覚悟で脱出できた、その後が本当の闘いだった。


生まれてからずっと"へや"にいたジャックにとって、彼の居場所はそこにあり、信じられるのは母親だけ。「"へや"に帰りたい」という言葉に涙が出る。

ジャックを見れない祖父のシーンも印象深い。頭では分かっていても、ジャックは娘を誘拐した犯人の子供。直視できるはずがない。


「ハッピーなはずなのに」と泣き叫ぶ母親の気持ちを想像すると胸が痛い。

必死に育ててきた。この子が希望だった。
それなのに、「犯人に懇願して赤ん坊を保護してもらおうとは考えなかったの?」と言われる始末。こんなの辛すぎる。


ジャックが少しずつ"世界"に順応し、友達を作ったように、きっと時間が解決することもある。

そして誰がなんと言おうと、絶対に確かなものは、母と息子の愛である。そんな切実なメッセージを受け取った。


ジャック役のジェイコブの演技が素晴らしすぎた。初めて外世界と対峙したり、プレデターと闘ったり、難しい役どころを見事に演じる天才役者の今後にも注目。
アロユニ

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