ゆずきよ

ルームのゆずきよのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.2
以前より気になっていた作品。
ただ内容によっては落ち込む可能性があったので、観るタイミングを考えていた。

物語は、小さな部屋で生活する母子は外に出る事が出来ず、5歳になったジャックは外の世界を知らない。
それは先ずどうしてなのか、という所が前半部分。
それが徐々に解明されていくミステリーを想像していたら、あっさり30分程度で判明。
そこからは脱出するための工作。
5歳の子に理解させるのは難しいよね。
しかもこの狭く暗い部屋の中で、お世辞にも教養に良いとは言えない環境で育ったのなら尚更。
でもそれも割とあっさり1時間くらいで成功。
ここから何を描くんだい?と思いきやこの映画の本領発揮はここからです。
映画で多いのは、脱出したり救出されたりする所がハイライトで、その後にミステリーが残されていなければ、そのままエンドロールへと向かう。
この映画は、その後の生活をしっかり描き、被害者の苦悩や幼い子供の成長を感じるための映画でした。
前半より遥かに胸が締め付けられる展開。
当事者じゃ無い被害者達の苦悩。
無関係な人達からの善意という悪意。
考える事の多い映画でした。
ラストに関しても、子供ならではというか、彼にとってはそれが全てで、でも今はそうじゃなくて。
不思議と涙が溢れそうになる良い終わり方だったと思います。

幼少期に親が車を買い換えるというタイミングで大泣きした事を思い出しました。
あの車は紛れもなく私達家族の車で、私の世界と言えばそれだった。
映画より遥かにスケールの小さい話ではあるのですが、そのことを思い出しました。
と、言っても今でも物を捨てる事には抵抗があり、だからと言って溜め込むとゴミ屋敷になってしまうので、捨てる前に大事にしていた物は写真に撮って残しておく事にしています。
映画の半券も捨てられず、1枚1枚ファイルして残してあったりします。
あれ?あんまり私は成長していない…?
いつかきちんとバイバイしなきゃ。
ゆずきよ

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