ベンアミ

ルームのベンアミのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
-
Q1) この映画の感想をまず一文に纏める(30)

基本的に観ていて苦しい映画だけれど、その中にも人の優しさや他者を受け入れたいと思う気持ち、大切な人のために生きる温かさを感じた。

Q2) この映画のテーマはなんですか(50)

自分(主人公=母子)にとって衝撃的な出来事、時間的連続性からの突然の断裂が起きたとしても、周囲の温かさや時間経過に助けられながら生きていくことができる。
信頼できる人が複数人集まった多少開かれた環境が個々人の精神的な成長や回復の助けに作用することを実感する。



Q3) この映画の良い場面を3つ挙げる (100)

①少年が車の荷台で初めて空を見上げたシーン
②少年が実家の踊り場で1人で遊んでいる時に義祖父が声をかけて初めて会話ができたシーン
③祖母が少年の髪を切るシーン

Q4) 各3つの部分でなぜそう思ったのか (100)

①"へや"から出るために母が作戦を立てて少年が実行に移すシーンの緊迫感から一転して広い世界に出ることが出来た解放感を観客も共有できる。また、へやの中で少年が絨毯の上に仰向けになり空想しているシーン(イメージ)と構図が同じで、舞台がへやの中から外へと変わったが連続性が感じられる。
②少年がそれまで母親以外の他者と関わる時に強い警戒心を持っているシーンが繰り返されていたため、私自身もこの義祖父が母子にとって安全な人間か疑っていたが、それがミスリードであり、義祖父の働き掛けをきっかけに少年の世界が少しずつ広がっていく安堵感を得た。
③それまで、髪の毛に宿るパワーを信じて髪を切らなかった少年が、入院している母に早く元気になってもらいたいと自ら祖母に髪を切って渡して欲しいとお願いする。自分の大事なものを差し出す優しさと少年の成長。母が虫歯で欠けた歯をお守りとして少年に渡したシーンとの対比。

Q5) 最後に締めの文 (20)

シーン別で見ると少年視点での印象的なシーンが多いが、この視点自体がある種、幼い息子を見守り、また見守ろうとする母親の視点の追体験でもある。母親自身も苦しみ、時にインタビュアー(外界)からの考えもしない質問に追い詰められたりするが、安全基地を再獲得して懸命に生きていく。
母子だけではかなり過酷なストーリーだが、周囲の温かさに何とか救われる。
母子だけの閉じた環境が監禁からの解放後も継続していたらこのような結末になり得なかったことを考えると、オープンダイアログ的に、3人4人5人、と信頼できる人が集まった多少開かれた環境が個々人の精神的な成長や回復の助けに作用することを実感する。

******
感想文のフォーマットがあったので使ってみた。()の文字数には対応できていない。
今客観的にこのフォーマットが適しているか判断ができないが時間を置いて再度読んでみて検討する。

『悪い子バビー』や『きっと地上には満天の星』等との類似性、相違点。
ベンアミ

ベンアミ