ちゅんせ

ルームのちゅんせのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
4.0
「ルーム」
7年間密室に監禁された女性とそこで産まれ育った5歳の息子
ありがちな猟奇犯罪物かと思いきや、
全編に夢と希望が溢れていて美しく感動的。
子供の幸せって何だろ?と考える。誰しも始めは生まれ育った世界が全てなはず。経験し学び世界は広がると同時に失っていくものも確かにある。

アマゾンの奥地や難民キャンプで生まれ育った子供は世界を知る術がない。
伝聞や本で世界を想像しても知ることは出来ない。
それは本人にとっては不幸なのか?
不幸ではない。何故なら想像は無限であり創造は思うがままだからだ。それは本作のように母と子だけの世界であればより顕著だ。

限られた世界は喜びも悲しみも狭いが深い。何もかも手に入り何もかも知れ何もかも体験出来る世界が幸せなのか?他者を羨み疎い、幸せの上限が永遠と膨れ上がり充たされることは決してない。何事も幸せレベルを下げれば人は多くの幸せを感じる事が出来る。無垢な少年の瞳には幸せの本質が溢れている。

当たり前のようにあらゆる情報を得て実体験可能な環境にある子供たち、そんな環境で生まれ育った自分たちには自由があるようで無いのかも知れない。想像や創造は現実という壁に阻まれている。最初から部屋だけが世界なら現実は現実でなく創造の中だ。実存も本質も在るが儘の世界。まさに夢世界だ。
ちゅんせ

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