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ボブという名の猫 幸せのハイタッチのDWのレビュー・感想・評価

3.0
■傍にネコがいれば「可愛い」と言って賽銭が貰え、いなければ「汚らわしいジャンキー野郎」とケツを蹴られるこの現実に戦慄したのは自分だけでしょうか?
路上パフォーマンスを行う主人公の周りでニコニコしているのは薬物問題など関心もなければ、最底辺の生活のことなど考えたこともない“善良”な市民の方々でしょう。主人公とボブのことを真剣に思いやっているのは、隣人のベティと、ボブにマフラーをプレゼントしたあのエレガントなご婦人くらいなのでは?。
自伝を出版する打ち合わせで、出版社の人間は、はっきりと「ゴーストライター」という台詞を口にしています。絶賛の嵐に水を差すようで申し訳ないですが、自分はあの台詞にビジネスと偽善の本質を見た気がしました。
メタドンを打ち切った主人公の根性と、ボブの名演技に敬意を表してここにUPしますが、それが無ければ上げてない映画です。

…しかしそうは言っても、(自分もネコと暮らしているので分かりますが)、ボブの演技は凄いです。ネコは普通あそこまで懐きません。編集の妙もあるのでしょうが、気ままにうろつき回っているはずのボブの表情を生き生きと切り取ったカメラワークと、そのカメラに物怖じしなかったボブに拍手です。
行方不明になったボブが帰ってきた時は思わず号泣しました。
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