蛸

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男の蛸のレビュー・感想・評価

4.1
ハリウッドの、と言うかアメリカの恥部である赤狩りに巻き込まれたトランボの脚本家としての人生を描いた作品。家族の再生とトランボが名前を取り戻すまでの物語が語られます。個人的にはハリウッドの内幕を描いた部分が特に面白かったです。
赤狩りは明確に国家による思想統制で「クソ」としか言うことができない出来事ではありますが、そう言った状況の中でも誠実に自分の信念を貫き遠した人間たちが少なからずいたという事実には胸が熱くなります。60年以上前のお話ではありますがまさしく「今」の映画です。終盤でのダグラスとプレミンジャーの立ち回りは泣かせますね。
個人的に好きなシーンが二つ。一つはB級映画会社の社長であるジョン・グッドマンが「アメリカの理想を守るための映画同盟」の人間に啖呵を切るところ。「役者にボイコット?好きにしろ役者は素人でもいい。どうせうちの映画はゴミだ。いくらでも新聞に書き立てろ。うちの客は読めんからな!」。いやーほんと最高ですね。
もう一つはトランボがジョン・ウェインを挑発するところですね。「殴るならメガネを外そう」は僕もいつか使ってみたいセリフです。
蛸