けんさん

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のけんさんのレビュー・感想・評価

4.3
ハリウッドの歴史、
そんなことがあったのか・・・
全然知らなかった。

1940年代後半、ソ連との冷戦化を背景とした共産主義に対するアメリカ政府の弾圧。

その影響は映画界にも及び、天才脚本家であり、共産主義者でもあった主人公トランボも「赤狩り」の対象となり、実刑を受けた10人=「ハリウッド・テン」と呼ばれた内の一人として、映画界から追放される。

この後、トランボは不屈の精神を持って数々の逆境を乗り越え、「ローマの休日」を始めとする数々の名作を生んでいく。

ただ、忘れてならないのは、トランボ同様に苦労を強いられたであろう中、おまけにワンマンで頑固ときている夫・父親トランボを理解し、支え続けた妻、息子、娘の存在で、私としてはむしろこの家族の方々に大きな拍手を送りたい。

もちろんストーリー上では、トランボが中心となって進むため、家族の心中を表すシーンはそれ程多くはないが、なんと最後の最後、エンドロールのところで私の思いを満足させてくれた。

そのエンドロールでは、1975年に「黒い牝牛」に対しての改めてのアカデミー原案賞を受賞するトランボ氏ご本人(本物)が登場するが、その場での「誰にこの賞を伝えたいか?」の質問に対して、「娘です。彼女は戦士でした。13年もの間、彼女は父親の職業を公表せず、秘密を守りました。だからこのオスカーは彼女のものです。彼女が秘密を守ったからこそ受賞できたのです」とトランボ氏は答えている。

また、1993年には「ローマの休日」のアカデミー原案賞を改めてトランボに贈られることとなり、1976年に既に亡くなられていたトランボ氏の代わりとして奥さんのクレオさんがオスカーを受け取っている。

このそれぞれの時の娘さん、奥さんの気持ち、
どうだったんだろう・・・
是非聞いてみたかった・・・
感慨深い喜びに溢れた声を・・・
けんさん

けんさん