きぬきぬ

アンジェリカの微笑みのきぬきぬのレビュー・感想・評価

アンジェリカの微笑み(2010年製作の映画)
3.8
絵画的構図の見事な映像の美しさ!
ショパンのピアノ曲以外にも、音の取り込み方、雑音でさえ印象的。
カメラのレンズを通して死霊にとり憑かれた青年の怪異譚は、まるで牡丹灯籠だけど、単純なファンタジーに終わらず、青年がユダヤ人であることで、苦悩と孤独を抱えた異邦人であり、現世の資本主義が蔓延る社会に未練など無く、人種、宗教、社会的格差などで現実では叶わぬ恋を死の世界で成就させようと望んでいる。その生からの逸脱は夢のように幻想的。ジョルジュ・メリエスの映像のように懐古的でもある。
青年は地を耕す自然回帰の生にも、アンジェリカの死に顔にも同等に惹かれるが、現世の生を放棄出来ることに、自然が失われていく憂いさえ感じられる。