MasaichiYaguchi

超高速!参勤交代 リターンズのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.5
「行きはよいよい、帰りはこわい」と童謡「通りゃんせ」で歌われているが、本作に登場する弱小貧乏藩の湯長谷藩の面々にとっては、行き<参勤>も大変、帰り<交代>はもっと大変ということになるだろうか。
2014年に公開され大ヒットした前作では、湯長谷藩は老中・松平信祝に目をつけられて追い込まれ、危急存亡の秋を知恵と工夫、そして奇策で何とか乗り切ったが、窮鼠猫を噛まれた体の松平信祝が息を吹き返し、本気の逆襲でまたもや彼らは絶体絶命のピンチに陥っていく。
本作では前作のメインキャストがそのまま続投し、更に古田新太さん、渡辺裕之さん、中尾明慶さん、橋本じゅんさん、宍戸開さん、富田靖子さんが加わって、「金なし!人なし!時間なし!」、加えて藩としての“象徴”まで失った、無い無い尽くしの湯長谷藩の人々のサバイバルドラマを賑やかに楽しく彩っていく。
この作品には、往年の時代劇にある勧善懲悪やチャンバラのワクワク感、主従や身分を越えた人と人との繋がり、ある意味“家族的”な優しさや温もりがある。
それを象徴している人物が、佐々木蔵之介さんが演じている内藤政醇だと思う。
閉所恐怖症で根っからのお人よし、気前が良すぎるお殿様だが、本作でもその欠点を含めた魅力が作品全体を包んでいる。
予定調和な展開もあるが、全てにおいてパワーアップ、スピードアップした本作品、諦めない人々の底力が伝わって来て元気を貰えます。