黒糖パン

帰ってきたヒトラーの黒糖パンのネタバレレビュー・内容・結末

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「笑顔のファシズム」

バートラム・グロスは新しい形態のファシズムをこう形容したが、本作品を一言で表すならば、これしかないだろう。

ブラック・ユーモアをちりばめながら、ファシズムが如何に身近な物か、大衆の経済的、文化的な不平不満に漬け込み、マスメディアの力を利用して、支持を拡大していく、ファシズムの危険性をこの映画では表現している。

イギリスがEUの離脱を決めた現在、本作品は非常に大きな意義を有している。
難民、移民問題は欧州を揺るがし、新たな異文化間の火種をもたらしている。ヒトラーというアイコンを通じて、「普通の人びと」が異人種に抱く排外主義の根元性、危険性を描いているように思われる。
国際問題に関心がある人は是非とも見るべきであろう。

主演俳優の演技も、ブルーノ・ガンツにも優るとも劣らない、ヒトラーを彷彿とさせる演技であり、ヒトラーが本当によみがえったように思われた。
「ヒトラー最後の12日間」を観た者なら、笑える箇所も何ヵ所かある。

ドイツでこのような映画を制作出来た事に驚きを感じ得ない。
黒糖パン

黒糖パン