タナカリオ

帰ってきたヒトラーのタナカリオのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.7

ナチス、ヒトラーを題材にした作品は1年で何本も出るが、ヒトラーが現代にタイムスリップしたことでヒトラーが真面目にやればやる程面白い、話が噛み合っていないのに噛み合うところがとても面白く、まさかコメディーという切り口でヒトラーを描くのはとても新鮮だった……と思いきや、後半、特にラスト30分、これは立派な問題提起だ、ということに気付く。

特に面白いのは、原作のドイツの町中でヒトラーが現れたら、ドイツ人達はヒトラーをまるでアイドルのように人気者扱いする、ということをゲリラ撮影で行うことによって、実現としたところだと思う。まさに映画だからこそできた演出である。

ヒトラーを選んだのは国民だった。それは選んだのか選ばされたのか、どちらにしよその力がヒトラーにはあった。この映画を観ている私達も、簡単に意思など他人の力で変えられてしまう…そんな不気味さを感じるラストだった。
タナカリオ

タナカリオ