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帰ってきたヒトラーのAKのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
3.7
ラスト30分、映画はフィクションであることを止めメタ・フィクションとなり、最後5分で銀幕を食い破り現実へと帰っていく。ヒトラーは台頭を選ばない。彼はこの排除と崩壊の時代を、やがて真に訪れるだろうナチズムへの過渡的な好機だとして消えていく。代わりにスクリーンに登場するのは、ルペンなどの現実に台頭する極右たちだ。

この演出が死ぬほど見事に感じるのは、この映画が制作公開された2014年から4年経ち、時代がまさにヒトラーが望んだ変化を迎えている2018年を生きているからだろう。まったく笑えない、真っ黒なスラップスティックだ。これは問題作だ。

『ヒトラー最期の12日間』は、そのヒトラー描写を巡っての論争が繰り広げられた。ジジェクがいうところの「人間化」問題であるが、本作のヒトラーはまさに「ポップスター」である。こうなるとコミック『総統はヒップスター』が読みたくなる…
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