Jeffrey

メディアのJeffreyのレビュー・感想・評価

メディア(1988年製作の映画)
1.8
「メディア」

冒頭、波打つ怪しげな別世界の風景の中に倒れ込む1人の女。カメラは海中へと進む。複数の王と子供、裏切りと命令、王冠と毒と殺人、安住の地、約束、結婚式。今、王と国の事柄が映る…本作はラース・フォン・トリアーによる、テレビドラマ映画で、1988年に製作されたもので、カール・テオドール・ドレイヤーがエウリピデスの劇 の"メデア"を改作したものに基づいてた作風である。このたびDVDボックスを購入して再鑑賞したが、エウリピデスのギリシア悲劇"メディア"に基づいた長編第3作目は映像がかなり美しい。ドライヤーの脚本に加え、切れ味鋭い表現と特殊な映像技術による独特の色合いが鮮やかで、舞台も古代風の永遠の場所であり、尽くした愛が憎しみへと変わる復讐の悲劇をメロドラマ的形式と風景画的側面で奏でている。だが、個人的な巨匠に対する敬意を表したいとドライヤーに対して監督が冒頭の説明文で伝えている。

さて、物語はメディアは夫であるイアソン捨てられた。イアソンはコリントスのクレオン王に認められ、王様の娘グラウケとの結婚を果たそうとしていた。アイゲウス王はメディアと2人の小さな子供たちに安住の地を約束する。結婚式を終え、グラウケを抱こうとするイアソン。だが、グラウケは先妻であるメディアをこの国から追放しなければ寝床を共にしないと言い渡した。クレオン王はメディアを訪ね、国から出て行くように命令する。これまで尽くしてきたイアソンは自分を完全に裏切り、そしてこの地に入ることさえできなくなってしまった。メディアは復讐を決心する。イアソンを呼び出したメディアは、彼の意に従うふりをする。そしてグラウケに花嫁の冠を送る。それには毒を染み込ませてあった。グラウケは、冠の先に触れてできた傷がもとで死に、助けようとしたクレオン王も毒に触れて死んだ。メディアの復讐はさらにイアソンとの間にできた愛する2人の子供たちにも及ぶ。イアソンは全てを失ってしまったことになる。
Jeffrey

Jeffrey