ねんどおにいさん

パーティで女の子に話しかけるにはのねんどおにいさんのレビュー・感想・評価

3.5
青春映画では無い。


「1970年代、パンクロックブームのイギリスでパンク童貞少年が謎の宇宙人少女と出会って48時間限定の恋に落ちる」といったあらすじから想定される青春映画とは全く異なる印象を受ける作品。

監督がヘドウィグ・アンド・アングリーインチのジョン・キャメロン・ミッチェルと聞くと納得のカルティックムービーである。


主人公らパンクスが遭遇する宇宙人達は登場人物全員が勘違いするようにカルト宗教の用な進化論を説き、宗教音楽としか形容できない謎の楽曲を流しながら前衛舞踏を踊り狂う。
各コロニー毎のド派手でサイケな衣装が見事。


監督曰く「昔、童貞の頃は女の子が宇宙人のように感じた」とのコメントからわかるように、童貞少年の頃に於ける女の子の神秘性を宇宙人にたとえ、それにパンクロックを絡めた。
確かにパンクスやUKロックは大きく取り上げられているし、細かいネタをギャグのスパイスとして織り交ぜてはいるけれど、実際鑑賞後に作品の核は「親」と言うものだったのでは?と感じた。


主人公であるエンの母父や、ザンの親と言われたボディシーア、方針の違う各PT、そしてザンやエン自身。
色々な形の「親」を描き、子を持つ母としての責任を取るまでを描いている。
それ故にラスト、エンの元へ訪れるとある人物達のシークエンスではモヤモヤが残った。


パンクや青春、恋愛といった要素で比較されがちな「シング・ストリート」や「あの頃ペニー・レインと」とは全く毛色が違うカルトなパンク映画なので相当に人を選びます。誤解なされないよう。



それにしても予告でよくもここまで完璧に「青春ロック映画です(はぁと」みたいなフリを出来たもんだ…