イチロヲ

ひと夏の関係のイチロヲのレビュー・感想・評価

ひと夏の関係(1978年製作の映画)
4.5
田舎町の教会に赴任してきた修道女(志麻いづみ)が、かつて自分を裏切った画家(志賀圭二郎)の痕跡を辿ろうとする。長野県蓼科(たてしな)高原を舞台に、地元住人と旅行客のひと夏の出来事を綴っている、日活ロマンポルノ。

訳ありの修道女を中心に、思春期の牧場娘(水島美奈子)、富裕層を撹乱する情婦(桂たまき)のドラマが同時進行していく。とりわけ、水島美奈子の性探訪が魅力満点に描かれており、彼女の肢体が健やかに飛び跳ねるだけで、活力が湧き上がってくる。

本作の主人公は、男の裏切り行為によって倫理観を歪められた修道女。彼女の奇行ぶりにギャグ要素が備わっており、教会で言っていることと、裏でやっていることの落差に笑わせられる。

モテモテの画家に嫉妬と苛立ちを覚えてしまいがちだが、牧歌的なムードと高原の開放感を大事にした演出が施されているため、性の根源をストレートに垣間見ているような気分に浸ることができる。
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