ヴァンサン・ランドンが演じるマルクに髭はあったのかなかったのか…から始まる心理劇？不条理劇？
「世にも奇妙な物語」っぽさがある。87分と尺もちょうどいい。

エマニュエル・キャレールが自身の小説「口ひげを剃る男」を映画化したもの。

ずっと生やしていた髭を思い切って剃ったのに妻は気付いてくれないし友人も気付かない。彼にとってアイデンティティの1つの髭の有無は相当な違いがあるはずなのに。それどころか髭生やしたことあったっけ？みたいな言われようで混乱するマルク。

きっかけは髭だったがどんどん彼の現実と周りの現実がズレていく。というか何が現実？
今まで当然と思っていたことが否定される。大混乱。

これどうなるんだろう？と。幻覚？ドラッグ？夢？妄想？いろいろ考えたが、アイデンティティや不安、他人の視線、記憶と現実の齟齬を描きつつ、その少し斜めを行く結末…真相はいかに？
似た映画あった気がするが思い出せない。

なるほどね！ってスッキリするタイプの映画ではないがまあまあ面白い。
これ多分小説で読むほうがもっと面白いかも。

コメント欄にメモあり👇

一度では真相が分かりそうにない…観たことないタイプの映画…

普段剃らない髭を剃るだけで親しい人たちや自分の日常がまるで「見知らぬ隣人」に変わってしまうような映画です。
しかしながら、髭を元に戻すといつもの日常が帰ってきます。迎えに来てくれた奥さんの何気ないいつもの態度が逆にとても心にしみます。
サスペンスやホラー、アクションにならずにドラマが見事に描かれているところが、この映画が商品ではなく作品たらしめている良点だと思います。

私が魅入ってしまったこの作品が日本で一般公開されなかったのがとても残念です。

劇中では、今は大分変わってしまった懐かしい香港を見る事ができます。
パリは余り変化したような気がしないのと、中国に関してはさっぱりどこだかわからないので…