だ

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のだのレビュー・感想・評価

4.0
ドランの映画は一貫して大人に抑圧される子供を描いている。ドラン作品に登場する母親という存在にはいつも心を掻き乱される。ものすごくイライラする。心のどこかで共感出来てしまうからこそ余計イライラする。大人からしたら子供はずっと子供のままだが、例え年齢が幼くとも中身がきちんと成熟している子はいる。それでも大人は子供扱いをやめない。対等な視線に立ってくれない。そんな周囲の無言の抑圧、それに伴う孤独感をありありと浮かび上がらせたすごい映画だと思う。実生活では子供扱いされる一人の大人と一人の子供は文通によって対等な立場にある。この対比的構造が物語に深みを与えている気がした。細かなカット割りや寄りの多い映像など見ていて「若いなあ」と思うところはあったけれど、自分らしく生きようという決意の表れでもあるあんなラストシーンを見ていたら、「よくぞ撮ってくれた」という気になる。日常の中でなんとなく抱える生きづらさをドランが代弁してくれたような爽快感みたいなものがある。
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