オオハラメグ

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のオオハラメグのレビュー・感想・評価

4.7
万人に受けるかは別としてではあるが、物凄く好きだった。ドランの個人的嗜好全開過ぎて批評筋からはドランワースト作品と名高いけれど私はそのチャラさを逆に楽しんでたので大丈夫だった。
グザヴィエ・ドランの映画は"絶妙な現実味を帯びた彼の妄想"感がどれも強いのだけど今回もまた然り。
一流の役者を夢見る子役の少年(これはドランの自己投影)がファンレターを送った大物俳優から返信が来て、それから何百通もやり取りを重ねていく…という夢のような話。
と言ってもあらすじの文章から伝わるものの数十倍情感に溢れた作品で、何度も、というか後半は終始涙ぐんでいた気がする。
俳優陣も相変わらず豪華で、ジェイコブ・トレンブレイの演技は子役ながらも迫真だった。
音楽も演技もショットも全て美しかった。(まあ音楽は使い方ベタだけど私はベタなのかっこよくて好きだしBitter Sweet Symphonyはまじで気持ちよかった)
あとマイプライベートアイダホを観たことあったのでより楽しめた。
「孤独」というテーマは人生と共に変化していくものだと思う。この映画をまた5年後に観たら感じ方が違う気がする。

グザヴィエ・ドラン。まだ30歳にしてこうも深く死や孤独について表現できるなんて驚くばかりだ。恐ろしいまでの才能に溢れ、美貌や俳優としての演技力も兼ね備えている。魔法のような人だと思う。
オオハラメグ

オオハラメグ